"twinovels" di senzaluna

自分が書いたtwnovelなどのまとめ

2009-11-01から1ヶ月間の記事一覧

20091125 --175

確かに置き去りにされた感はあった。でもそれすらどうでもいいと思えるくらい充実した年月を過ごせたので、俺は両親を怨んではいない。何と言っても、守護者への道が拓けたんだしな。……俺が何かしらで動くたびに昔と変わらずビクッとなる二人を見て、無性に…

20091125 --174

ご両親に挨拶しに行く。そう言ってルドルフ爺さんは俺の親に会いに行った。無論俺も一緒さ。久し振りに見た両親は、いつの間にか俺より小さくなっていた。寄宿舎に俺と荷物を置き去りにしてから11年、ただの一度も帰省させず面会にも来なかったくらいだ。知…

20091124 --173

廊下の先、あの光の向こうに求める答えがあるのだろうか。ゴクリと唾を飲み込み、わたしはゆっくりと一歩目を踏み出した。 #twnovel http://movapic.com/pic/200911240946524b0b2cfcb0022 posted at 09:47:01 先日泊まったビジホの廊下の写真が携帯にあった…

20091124 --172

君を奪い去った死神を殺す為、今夜も俺は冥府への道を探し彷徨うのだ。 #twnovel posted at 00:37:36

20091123 --171

@takao_rival 池に言葉を落とした男の前に女神が現れた。「貴方が落としたのは駄洒落ですか? それともお洒落ですか?」「……お洒落な駄洒落です」男は暫し考えたあとにそう答えた。「下手な洒落はやめなしゃれ」女神は去っていった。ちょ、俺の言葉返して!…

20091123 --170

「ああ、見てごらん。木星が月と束の間の逢瀬だよ」空を見ながら話しかけてはっとする。そうだった。君はもう、いないんだったな。引き離された二人。共に生き、共に死ぬと誓ったはずの愛しき君は手の届かぬ遥か彼方に。せめて同じこの空を見上げていて欲し…

20091123 --169

一人以上の守護者から推薦を受け、かつ半年から一年の研修期間の後に合否が下されるという方法もある。俺は大学院に進んだ時に第3級戦士の称号を授与されているので、無称号からの推薦よりは手続きが簡単に済むんだと。面倒な規則だのうって爺さん、あんたが…

20091123 --168

守護者になるって言ってもすぐになれるわけじゃない。第4級傭兵や第3級戦士あたりから始めて、課題をクリアしたり功績を挙げて第2級の騎士か狩人に昇級し、更に課題クリアや功績を積み上げてやっと第1級守護者に挑戦できる資格が得られるという気の長い話だ…

20091123 --167

ルドルフ爺さんは軍のお偉方に俺のことを聞いて腕試しに来たそうな。って守護者にならんかだとー!? 俺てんで敵わなかったじゃんか。それでもいいのか? って訊いたら、鍛え甲斐がありそうなのがわかったから誘ってるってさ。どうせ奇異の目で見られるなら…

20091122 --166

ルドルフ・モジュール。組み手のあとに爺さんはそう名乗った。俺は飲んでた水を派手に吹いたね。そしてむせた。ルドルフ・モジュールつったら守護者じゃねえか。しかも登録No.1、守護者総帥の鉄人ルドルフだ。そりゃ勝てねえよ。生きた伝説が目の前にいる。…

20091122 --165

負けた。もう負けに負けた。完膚なきまでってのはまさにあのことを言うんだな。ぽいっぽい投げ飛ばされてやんの。かっこ悪い。こっちは得物使ってんのに、徒手空拳の爺さんに勝てやしねえ。なんだこの爺さん。化物かよ。きっとあの時の俺は親が俺を見た時と…

20091122 --164

学校も俺の才能を抱え込み切れなかったらしい。飛び級で大学院まで行ったが、学問は俺的にどうでも良くて、軍の戦闘術――特に格闘系の演習にのめり込んだ。そこでも敵はいなかったがな。そんな退屈だった俺のところに、あの爺さんが来たんだ。その日は、俺の1…

20091122 --163

俺が類まれな才能を持ってるとわかると、親は喜ばなかった。化物を見るような目で俺を見るようになった。あれだな。イネビリアかと疑ってるんだろう。生憎と俺は普通の人間なんだが。って軍の寄宿舎付学校に行け、か。また体のいい厄介払いを。了解、これも…

20091121 --162

そこは時の止まった部屋、或いは運命の揺り籠。今、息絶えようとする母親の腕の中で、徐々に冷たくなる母親に気づきもせず、幼子が安らかに眠っている。今はまだ知らぬ。今はまだわからぬ。次に目覚めた時より始まる激動の未来など。遠くで雷が鳴った。それ…

20091121 --161

「ほんとお前くっだらねえなあ」「うん、まあ元々こういうくだらない性の人間なんだよ」「ちょっと待てお前今俺のこと馬鹿にしたろ」「え? してないよ。俺が元々くだらない性の人間なんだって話で」「お前俺どこ出身かわかってて言ってんのか」「え? どこ…

20091121 --160

「あいつらはさっきから何を騒いでるんだ」「なんでも、滋賀の存在を認めないとかな何とか」「なんだよそれ、意味わかんねえ」「滋賀に住んでる人たちにしてみれば迷惑な話だ」「まったくだ。ほんと、しがない世の中になったもんだなあ」「いや、まだ滋賀あ…

20091120 --159

解放術式1番〜13番まで承認。法力フル充填次第シアー開放、トリガーを艦長へ。対象座標確認、X37-Y56-Z4-TL5670000000。座標固定、対呪言結界展開。法力充填完了、トリガーを艦長へ。……艦長、対象に動き有り! 弥勒の、弥勒の悟りが始まります! #twnovel po…

20091119 --158

位階が上がるのは悪いことではないが、異界での位階が上がったところで急いで遺戒を書いて置いてやらないといかんじゃないか? いやそれに本当はこの世界以外の位階が上がってもいかんともしがたいか胃が痛くなるだけだと思うんだ。あ、何? いかいいかいし…

20091119 --157

「……また来る」墓に背を向け歩き出す。守護者になれば十中八九イネビリアを手にかけることになるだろう。同族殺しだ。だがその業を背負う覚悟は、ある。そうしなければ取り戻せぬのなら喜んで背負おう。恐らく求めるものはその先に。――やがて青年は、闇に溶…

20091118 --156

物思う木は、先程まで己の下で本を読んでいた娘が、今はその本を胸に抱いて泣くのを見た。悲しそうな表情ではない。ならばあれは感動の涙だろうと思った。この、人がいるかどうかもわからぬ世界だが、何時かその感動を伝えられる誰かに会える日が来るといい…

20091118 --155

取り戻したい……何としても取り戻さなければならないものがある。ならば迷うまい。根底にあるこの思いを忘れなければ何だってできるはずだ。そうして400年近く、幾つもの世界を渡ってきた。守護者になる。人として生きる為に、ではない。手段だ。己が望み、決…

20091118 --154

未来の位置にあった『恋人』のカードが示すは「選択」。そしてその選択では直感による決断が迫られる。老婆の占いは不思議と当たった。それはイネビリアである自分が見ても感心する程だった。……そうか。悩む期間は終わったのだ。運命を己が直感で選択する「…

20091117 --153

「人ととして生きる道もあるんだよ」老婆はテーブルにカードを並べながら言った。「それともイネビリアは必ずイネビリアらしく生きなきゃいけないのかね?」最後の1枚を置いた。眼鏡の奥の目が細くなる。「現在の位置に『月』。未来に『恋人』。今はまだ……悩…

20091117 --152

風が吹き、櫨の枝がざぁっと音を立てて揺れる。青年は顔にかかる髪を払い空を見上げた。たくさんの星が葉の隙間から明かりを落としている。「人として生きてみないか、か」呟き、ゆっくりと視線を墓に戻す。「あなたと同じことを言う人間がいたんだな」脳裏…

20091116 --151

浜に落ちてた象牙っぽい欠片を組み立ててみたら邪悪な蜥蜴の化物っぽい像が完成。そしたら怪しい集団が2団体やってきて「それは世界を破壊する邪神の像だから寄越せ」と言う。別々の意味不明な理由で世界を滅ぼしたいらしく、勝手に争い出した。そしてわたし…

20091115 --150

「人として生きんか」その言葉はイネビリアの予期せぬものだった。「お前さんと儂の違いがどこにあろうか。育ての親の死を看取りその葬儀にまで心を配る誠実さが、人のものでなくてなんであろうか。ただお前さんは持って生まれた魂が周りと違っていた、それ…

20091115 --149

唐突な提案に、さしものイネビリアも驚いている。「守護者になれば過去に現われたイネビリアの情報を得るのも容易い。お前さんの話にあったイネビリアの情報があるかもしれん。そして守護者独自の特権も色々ある。……いやそんなことよりもな」ルドルフは一旦…

20091115 --148

少なくともこのイネビリアと自分との違いは、宿す魂だけではないか。そう思えてならなかった。(もったいない)話をすればするほど彼の人間くささが見てとれて、傲慢かもしれないが、このままにしておくのはもったいない気がした。「守護者にならんか?」思…

20091115 --147

ルドルフははっとなった。目の前のイネビリアに対して覚えていた違和感。それは彼の言葉を濁す態度。迷い、躊躇し、言葉を選んで話す彼の仕草が、人間そのものだったからだ。ルドルフが今まで対峙してきた数人のイネビリアに、そういう逡巡するような者は誰…

20091115 --146

イネビリアは終始誠実な態度でルドルフと話した。ただ、答えたくないこともあるようで、時折言葉を濁した。言えないことは誰にだってあるものだと、ルドルフも無理には聞かなかった。そこで気づく。いつの間にか彼をイネビリアとしてではなく、ひとりの人間…