"twinovels" di senzaluna

自分が書いたtwnovelなどのまとめ

2011-11-01から1ヶ月間の記事一覧

20111122 --479

「イネビリアからの依頼に問題あるか? って言ったら、そりゃあるさ。守護者はイネビリアと戦うからな。だけどあんたはこの世界のモンじゃない。そして誰にも手を出してなさそうだ。何よりこの世界のあんたは守護者、俺の同僚だ。だからあんたからの依頼は受…

20111118 --478

人間が生まれてこの時代に辿り着くまで、一体どれだけの歌が唇に乗っては消えていったのかわたしにはわからないけど、そんな中でも誰かから誰かに歌い継がれて消えずに残ったものには、きっとそれだけの何かがあったと思うのね。わたしの歌はどうなるかしら…

20111115 --477

黒衣の騎士は、ロジェに意外な質問をしてきた。「……守護者は、個人からの依頼も受けているか?」「おう。公的なやつ優先だが、個人からの私的な依頼も受けてるぞ。もちろん最高級──第1級守護者への依頼だから報酬もそれなりに貰うことになるが。って、なんだ…

20111114 --474

「たった4つの血液型で何が決まるってんだ。石投げたら同じ血液型の奴に当たる確率どんだけだよ。でも同じような性格でも性癖でもねえじゃねえか。それをあの女……。なあ、友よ」「いつまでも振られたことをうじうじ考えるのはA型の特徴でな」「くそぉおおお…

20111114 --473

「俺の血液型ぁ? 雲竜型だよ」「お前、真面目に答える気ねえだろ」「んだよ面倒くせぇな。じゃあ答えてやるよ。アダムスキー型だ」 #twnvday #twnovelposted at 21:38:06 お題は「血液型」。

20111115 --476

縁側から出て黒衣の騎士の横に並ぶと、ロジェは月を見上げた。「いい月だよなー。ったく、月を愛でつつのほほんと酒呑んでたかったのに」とんだ邪魔が入ったもんだと毒づくが、声色には嫌悪感も悪意もない。「……まあいいや。そんで? 話があるからここに来た…

20111114 --475

ふと、酒器を口に運ぶ手を止めた。待月堂縁側、センが出て行った後も一人呑んでいたロジェである。杯を盆に戻すと、縁側の前にある池のほとりを見遣った。今の今まで誰もいなかったほとりに、黒衣の騎士が姿を現わしたのはその数瞬後。「よう」驚く風もなく…

20111112 --472

黒衣の騎士は去った。夜に、闇に、掻き消えるように。『別の世界の我ら』と彼は言った。(それは、恐らく……)ユイは騎士の言葉を心の中で反芻しながら視線を館内に転じた。その先の絵の中では、少女が変わらず微笑んでいる。月の光のせいだろうか。少しだけ…

20111112 --471

「小さき守護者、慈愛満つる大地に愛されし御子よ。いかなる時も水の如く寛容たれ。万難に際しては勇気の火を心に燈せ。然らば自由なる風が汝を正しき運命に導きたもう。汝が行く末に祝福を。……我も、この世界の我も、別の世界の我らも、皆、汝の歩む枝の先…

20111112 --470

言葉を発して初めてユイは自分が泣いていることに気がついた。恐怖からではない。悲哀でもない。目の前の騎士の心底から響き続ける慟哭、あの寂寥感の源。それが僅かに緩んだのだ。それほどのものを抱えた彼の心が少しでも希望を見出せた、それに対する安堵…

20111112 --469

桜月館に着いたユイは、既にセンがどこにいるか知覚できていた。そこに行くなら外を回ったほうが早い。(それにしても)戸惑う。場所が、あの肖像画の前なのだ。そしてその戸惑いは到着した時に更に深まる。内側から窓が開かれた。その先で、全く同じ顔がふ…

20111104 --468

「それが進む枝先への一条の光たれるなら。そして俺もまた、この邂逅を俺が積む可能性に重ねよう」「……感謝する」センの言葉に黒衣の騎士はそう短く答えた。「あ、あの」その時だ。ようやくユイが口を開いたのは。騎士が感謝を述べたと同時。まるで金縛りが…

20111027 --467

黒衣の騎士はユイの手を離すと立ち上がり、センに向き直った。「汝、可能性を見出し我よ。その可能性を我の集める希望にも積み重ねていいだろうか。来し方幾千の年月、しばしつかむものなく鈍っていた歩み、わずかながら軽くなるだろう。今ここに来たは符丁…

20111027 --466

「標は点在する。いくつもの世界、いついかなる時にも。我はそれを拾い集めて可能性と希望を成す。どれほどの道のりを行けば、いつまで続ければ集め切るかは各々に科せられた運命により変わる。明日かもしれぬ。千年後かもしれぬ。……終わらぬかもしれぬ。し…

20111027 --465

「大綱の制約により、ひとつの世界に在れるはその世界の我ただひとり。他の我がいる世界へは実体を伴わぬ意識体でのみ行くことができる。また、意識の密度をより濃くすれば実体のごとき振る舞いも可能となり、このように触れられるのだ。ただし干渉はできる…