"twinovels" di senzaluna

自分が書いたtwnovelなどのまとめ

2012-02-01から1ヶ月間の記事一覧

20120221 --516

「乳はないほうが好きだ」「なんだよ唐突に」「いや何か話題でもと思ってさ」「だからって貧乳好きをアピールかよ」「でも知り合い巨乳ばっかなんだよな。どっかに俺を好きな貧乳の女の子いねえかな」「お前な、そういうのを『ないものねだり』って言うんだ…

20120218 --515

「人間は食糧の元である動植物に手を加え、効率良く大量に入手できるようにした。人間の数が増え、賄う為に多くの食糧を必要としたからだ。世界はどうしたか。何もしなかった。逆にそれが功を奏し、人間の数は増え、もう六十億を超えた。──」自殺した、とあ…

20120218 --514

「生き物が生き物の命を食べなければ生きていけぬと言うのなら、そしてこの世界が一つの生き物だと言うのなら、世界は何を食べているのだろうか。存在するあらゆる生き物が食糧なのだとしたら、人間だけを食べぬと、どうして言い切れよう──」自殺した、とあ…

20120217 --513

『影繋ぎ月』とは彼らを表わす紋のことだ。更に特定の者を示す時は、そこに個別の意匠を加える。すなわち彼女は山桜、彼は橘である。とある時とある場所で見たそれらを、彼らは己の紋とした。無常なる『時』に散る桜。その実に不老長寿の薬効有りとされる、…

20120215 --512

友達に渡すはずのギャグで作った義理チョコをド本命の彼に渡したと判明したのは、いざ友達に渡そうと取り出した瞬間だった。もう開けちゃった? 開けちゃったよね? って悶々としてもしょうがないので、思い切って携帯に電話。繋がった瞬間、叫ぶしかなかっ…

20120215 --511

帰宅途上の別れ際、彼女がチョコをくれた。少し照れながらくれた。かわいかった。家に帰り部屋にダッシュ。着替えもそこそこ早速開けてみる。チョコの表面に踊る『義理』の二文字。え、ちょ。タイミング良く鳴り響く携帯。こだまする叫び。「間違えたあああ…

20120214 --510

あいつはやめておけ。失ったものを追いかけ続けて、そのせいでボロボロだ。もう手に入らない、戻って来ないとわかっていても求めずにはいられない、執念だけはきっと世界中の誰にも負けない。そんな奴だ。……うん、そんな奴だからこそ、か。わかるよ。なら、…

20120203 --509

「先ずは鶴翼陣を成して此処を制圧。後詰到着次第、次の──此処だ、友軍苦戦の報が来た地域に進軍。索敵班に依れば敵は味方陣地に攻め込み過ぎ戦線が冗長しているとの事。当部隊は此れを側面から強襲、一気に叩く。各自残弾数に注意。豆補給部隊に適宜追加要…

20120202 --508

世界はどこまでも白。肌を切りつけるかの如き冷たい風が暴れている。あまりの吹雪、翳した手すら白く霞む。振り向けば数歩前の足跡も雪に埋まった。これだけ全てが白く染め上げられていると、進む方角すらわからなくなりそうだ。いや、もしかしたらすでに迷…

20120202 --507

目を閉じても開いても闇。何故こんなところで迷っているのか、時間がどれほど経ったのか、導なり得るものは何もなく、ただひたすらにそこに在ることしかできない。誰かいませんか? 誰かいませんか? そう暗闇に向かって叫んでも返事はない。疲れて眠る。そ…

20120202 --506

その手が朽ちていくのを、俺は何も見えない中にあってさえ知れた。ずっと握っていたからだ。まず、動きが無くなった。次に温もりが消え、やがて嫌な匂いがした。段々肉が無くなっていき、固いものが触れるようになった。それでも離さなかった。離せなかった…

20120202 --505

真っ暗な中を歩き続ける。わかるのは先刻まで生きていた世界とは全然違う、一条の光もない世界であることと己の名前ぐらい。ここには他に誰かいるのだろうか。ひとまず立ち止まっているのも違うように思えたので、何も見えず無謀な気もするが歩いている。お…

20120202 --504

手を、握り続けていた。暗闇の中で、それが互いの存在を知り得る唯一の方法だった。何があるか、誰がいるかわからぬ真っ暗な世界で、這いつくばるように探し、やっと掴んだ誰かの手。念ずれば互いの言葉が聞こえた。しかし不意にその手が離れた。途端どこに…

20120202 --503

何時からか、貴方の声が聞こえない。暗闇の中、探って探ってやっと辿り着いた、誰かがいる証。真っ暗だから顔はわからない、けど、確かにそこに存在する誰か。互いの名前を呼び合う。わたし達はそれ以外何も知らないから。呼び合い続けた。なのに。返事が無…

20120129 --502

恐らく求めているのは『言葉』ではあるまい。そのようなカタチなきものではなく、触れられる『存在』を必要としているのだ。だがたとえそれを手中に収めたとしても、今度はそれを決して手放すまい、手放さずに済むにはどうすればいいのかと、新たな苦悩まで…

20120128 --501

うずくまり抱えた膝の間から、視線を巡らせた。ひとりでは断てそうにない鎖が目の前にある。重く、頑丈な鎖だ。これがある限りここから動けない。いつからあるのか、もしかしたら最初からそこにあったのかもしれないが、よくわからない。気がついた時には、…