"twinovels" di senzaluna

自分が書いたtwnovelなどのまとめ

2010-11-01から1ヶ月間の記事一覧

20101029 --310

イネビリア検査は何回受けた? ……2年前に孤児院に入ってから7 回か。それは多いね。理由に心当たりは……あるのかい。ま、あるだろうさ。軽い怪我なら一瞬、重傷でも数時間で元通りとあっちゃ。でも、本当の理由は ──。「こうやって、喋らないでも会話ができる…

20101027 --309

「そこから先に行っちゃいかん。……いずれ行けるようになる。今は我慢をし」背後に、いつからそこにいたのか、長い杖を携えた老婆が立っていた。「大体の話は聞いてるよ。孤児院から来た娘ってのはあんただね」そう言って老婆はユイについてくるように促し、…

20101027 --308

(行き止まり? でも……あれ?)壁は確かに目の前にある。あるのだが、威圧感がない。よくよく目を凝らす。するとどうだ。壁が透けていき更に奥へと続く道が見え出したではないか。「道は見えたかね?」不意に背中から声をかけられ、ユイは飛び上がらんばかり…

20101022 --307

娘「あ、ジャック・オー・ランタンだ」母「娘よ、何故あのかぼちゃのお化けをジャック・オー・ランタンというか知っているかね?」娘「しってるよ。わるいからでしょ」母「へ?」娘「じゃあくだから! じゃあく・おー・らんたん!」母「うん、まあもうそれで…

20101021 --306

しばらく待ってもシスターは帰ってこない。「シスター……?」残響がわかるほどの静寂と薄暗さは、幼子を心細くさせるに充分なものだった。思わずユイはシスターが立ち去った方向に歩き出した。だがいくつかの分かれ道を見落として、入り口ではない行き止まり…

20101021 --305

「こっちですよ、ユイ」シスターと共に訪れたのは、いつも遠くから眺めるだけだった大聖堂。昏倒したあの日から二日が経っていた。シスターは何か守護者がどうのと説明してくれたのだが、どうにもよくわからない。大きな扉の前で待つようにと言うと、シスタ…