"twinovels" di senzaluna

自分が書いたtwnovelなどのまとめ

2012-06-01から1ヶ月間の記事一覧

20120605 -554

人よ魅かれよ陽だまりの鳥。鳥よとめ行け黄玉の羽。羽よはらめよ花揺らす風。風よ奏でよ彼の地に歌を。歌ようたえよ美しき月。月よ続けよ尽きせぬ時に。時よ永久なれ尊き海に。海よ生み出せ有情の命。命生きろと一途に土に。土よ包めよ罪無き人を。安らかな…

20120531 --553

嗚呼、5月、5月よ。31日もあったはずなのに、なんともうお前と別れなくてはならないのだ。GWに始まり、痛ましい事故を抱えながら、しかし素晴らしい天体ショーを見せてくれたな。終盤の雷雨はきっと予定外の事態だったんだと思っておくぞ。……さぁそろそろ時…

20120517 --552

力を失った星の神子は次代の指名すらできなくなっていた。これで教団の覇権も風前の灯かと思われたその時、それまで教団内では見向きもされなかった論理と実験に没頭していたとある研究者が幹部会に乗り込み、一説ぶち上げた。「神子の占星通りに、星を動か…

20120515 --551

その、肉が原因だとわかったのは、地方での蜂起が落ち着いた頃だった。神子の近習に、昔教団に捕縛され内々に消された者の親族がいつの間にか紛れ込んでいた。その者が神子の毎日の食事に、わからぬように少しずつ、初めは肉汁、次に肉ひと欠片といった具合…

20120515 --550

星の神子はその力を保つ為、動物の肉を一切食べない。肉が内包する生命の残滓──穢れが占星を狂わせてしまうのだ。神子の交代は前任者からの指名を以って行なわれるが、指名以前に肉を食べていた者は神子の座に就くにあたって一週間以上、人によっては一年近…

20120515 --549

東の五地域を襲った大災害。多くの民が死んだ。これにより長年教団の圧政に苦しんだ民に溜まっていた不満や憎悪が、各地で蜂起という形で噴出したのも当然と言えた。教団も応戦するが、一部の地域は教団の支配から解放されることになる。何故、神子達はそれ…

20120515 --548

一人の神子だけが読み誤るなら能力の消失が他者より早く来たとして挿げ替えれば済む。だが七人全員が読み誤るとなれば、それは異常事態だ。あらゆる科学的神秘的方法で原因を探ったが終ぞ見つけられなかった。読み解きの当たりはずれを繰り返すこと数ヶ月、…

20120514 --547

星辰が全てを支配する。異を唱える者は悉く教団に捕らわれ消息を絶った。やがて逆らう者もいなくなり、教団の栄華は千年続くと言われるまでになった。が、それは恐らく叶わぬ。何故なら、教団の権威が揺らぎ始めているからだ。今代の星の神子が、時折、未来…

20120514 --546

星辰崇拝を基とした教団が治める星がある。星の神子と呼ばれる七人の童女が占星術により天の星から未来を読み、教団幹部がそれをもとに世界を動かした。教団は元々地方国家に発足した極小さなものだったが、星の神子の占星により規模は瞬く間に拡大し、遂に…

20120514 --545

空から恋石が落ちてきた。 #twnvday いや、落ちてきたはずだった。「え、ちょ、お、おおおい!」落ちてくる恋石を手で受け止めようと差し出したら手のひらに収まる寸前にカクッと90度カーブしてどこかビルの向こうに大急ぎで飛んでいった。俺の恋は始まりも…

20120507 --544

こんな夜中にドライブに誘ったのも柄にもなく饒舌だったのも近所を回るはずが勢いで海まで車を走らせたのも浜辺で防波堤に並んで座って波の音を聞いたのもあんまりにも綺麗な横顔に見とれちゃったのもカミカミで君に告白しちゃったのも全部今夜の月がいつも…

20120506 --543

のしかかってきそうな大きな月が窓枠の向こうで幾万の星を従えて往く。手をのばせば掴み取れそうなそれは、しかし、結局は誰のものにもなりはしないのだ。ふと視線を転じて、この胸でうたた寝する君を見る。月光に淡く浮かび上がる白肌は、いっそ触れえざる…

20120505 --542

森の奥。そこだけ、まるで誰かが誂えた舞台のように、ぽっかりと土が剥き出している場所がある。真ん中に古い切り株が一つ。そしてそこには少女が一人、軽く腰掛け歌っている。聞くは物言わぬ木と空を往く月。彼女は言う。ここは舞台ではない、と。木々に閉…

20120505 --541

荒野のど真ん中に、ただただ真直ぐのびる一本道があった。見渡せば草木無く、ここが常世である証は、人工的に作られただろうその道のみ。空にはいつもより重そうな月が我が物顔で浮かび、地の果てまでも映し出すかと思えるほどに煌々と輝いている。そんな月…

20120501 --540

時間とは「時間軸の法則によって定められた一方に、一定の速度で絶え間なく流れる(例外有り)概念」だ。よく川や風の流れに譬えられている。時を渡る際に未来に進むが易く過去に戻るが難い理由? 川や風の中で流れに沿って進むのと、それに逆らおうとする様…

20120501 --539

四月よ、前半の寒さにはこちらも肝を冷やしたが、後半で鮮やかに春に復帰したな。むしろ夏をフライングさせた気がするぞ? ……まあいい。見事な桜を咲かせた功績に免じてこれ以上の追求はすまい。ほら、五月が来ている。引継ぎが終わったら旅立つんだろう? …

20120426 --538

夜光貝に彩られた月が星の海に浮かぶ。僕はその下で、ただじっと、ただじっと、気ままな風の歌を聞く。これから辿り着くはずのたくさんの分岐点と、その先にある未来を思い描きながら。大丈夫。踏み出す一歩はきっと力強い。進む為に必要な希望を、この手に…

20120421 --537

大英博物館に展示されているロゼッタ・ストーンを見てインド人のコックが叫んだ。「これ、カレーの作り方じゃね?」 謎はすべて解かれた。世界は幸せの味を手に入れたのだ。 #twnovelposted at 00:16:56

20120416 --536

今年は仕事が忙しくて花見にいけなかった。そんな僕に実家から小包が届く。旬の食べ物の他にはやけに軽いがぱんぱんに膨れた紙袋。不思議に思って封を切るとぱぁん! と破裂した。僕の部屋と視界は、一瞬にして薄紅色に支配された。やられた。そうだよ故郷の…

20120410 --535

夜空に満てるは月の皓、受けて吼えるは天の狼。虚ろに照らす未知なる道先、兆し見ゆるは黄金道。地の果てに立つ、其は枝垂れて誰を待つ。終の運命に降り積もる花、月明かりの下断つ退路。朗々歌いて方々惑い、咆哮響いて滔々流る。流浪放浪幾星霜、独り往く…

20120405 --534

かつて栄華を極めし都ここにあり。天に届くが如き塔林立して空を埋め、地中深くに蜘蛛の巣の如く技術の奔流巡らせり。全生命の頂点に君臨せしその都、しかしとある剣士握る一振りの剣の、ただの一閃により瞬く間に滅びぬ。今はその存在示す遺構が僅かばかり…