"twinovels" di senzaluna

自分が書いたtwnovelなどのまとめ

2013-09-06から1日間の記事一覧

20130425 --704

それは命を賭してまで叶えるべき願いではない、と? 何を言うか。それに如何なる価値があるかを定めるは汝ではなく我なり。理解できぬのなら口を噤んで下がっているがいい。笑いたければ我が消え去りし後に高らかに嘲りたまえ。存分にな。ただ今は、どうか今…

20130425 --703

明確な目的地も定まらぬまま、徒に時間は過ぎ、歩く距離ばかりが増えていく。登るは険峻、降るは峡谷、往くは永久なる運命の枝。あとどれだけ進めば、望むものに手が届くのだろうか。あとどれだけ進めば、かの者の髪の先を、この手で掴めるのだろうか。風に…

20130412 --702

時間魔法か。多少なら使える。だが、あの『時の魔女』のように誰かを今と違う特定の時間に送るなどといった緻密なことはできない。周到な準備をすれば別だが、咄嗟にできるのはせいぜい自分の手の届く範囲の時間を操る程度だ。時間軸を飛ぶには力が足りぬ。…

20130412 --701

ギターとヴァイオリンの音を纏い、女は踊る。名うてのダンサー、ではない。恐らくより優れた者は確実にいる。踊り自体はその程度のものだ。だが、その一心不乱に踊る様は、燃え上がるような真紅に色づいた薔薇を思い起こさせる情熱さを持ち、それを以って観…

20130412 --700

夕暮れ。世界が鮮やかな橙色に染まった。水平線に沈みゆく太陽を背に男がひとり立っている。まるで絵画のような風景が背後に広がっているのに、気に留めた様子はない。波が彼の踝までを何度も洗うが、それすらも意識の外のようだった。彼は待っていた。冬の…

20130410 --699

終わらぬ思いも終わらぬ命もないのだと、受け入れられるまでどれほど心を強くせねばならぬのか。まだまだ手放すつもりもなかったものを、もしかしたらひょっとしてと、油断すれば心押し潰さんとする深い疑念と暗い恐怖に、一体いつまで耐え忍べば良い? 確か…

20130410 --698

手放すまいとみっともなく縋りつく。構うものか。失うことに比べたら、恥辱など毛ほどの影響もない。時間よ、奪いたもうな。絶望よ、道をあけよ。光よ、指し示したまえ。答えはいずこにやあらむ。奇跡はいずこにやあらむ。泣けば良いか。叫べば良いか。見つ…

20130410 --697

わたくしは恐ろしいのだ。失いたくないと心底願ったもののはずなのに、いつしか色も褪せ、遠く離れ、煩わしくなっていくことが。そして、失ってしまうことが。行くな行くな。まだ行くな。まだこの手の中に。まだこの心の中に。何故もっと強く、もっと強く、…

20130410 --696

永遠に続くものなどないのだと、時間は理想ではなく現実を無慈悲に突きつける。失いたくないものを易々と奪い去っていく。覚悟も何も決められずにいるこの瞬間にも、それは、確実に、着実に、近づいてくる。見えているはずなのに見えぬものが、突然世界を覆…

20130402 --695

不意の暖かさに桜は目を覚まし、冬を追い立てるかの如く弥生の平地を足早に駆けた。漸う卯月が追いつけど、辺りは既に花びらを手放し、新緑が顔をのぞかせる。枝に身を寄す小鳥が歌う。新たに始まる一年に、これから出会う一縁に、期待と希望と祝福を。 #twn…

20130330-31

おお、今こそ汝を抱きしめん…… #twnovelOFF #twnovel posted at 17:57:04 空に引かれた飛行機雲を見ながら、川魚入りのきしめんを音を立ててすする。ああ、うまいな。美味しく物が食べられるというのは、それだけで幸福と呼べるのではないだろうか。 #twnove…

20130330 --694

風が吹くたび視界を埋め尽くす桜の花びら。手を差し出せばすぐに何枚も積もる、それほどの花吹雪。先を歩くあなたの腕を慌てて追いかけて掴んだのは、不意に花びらに遮られた視界のせい。あなたは一瞬驚いた顔をして、それから、ふわりと、笑った。「大丈夫…

20130326 --693

世界の果て、断崖の桜が月明かりに美しく照らし出されている。「今年は、やけに早いな」「桜は満月に向かって咲くと申しますれば……」「ん? ああ、明日は満月なのか。いやそれにしても一回りほど早いじゃないか」とある主従が枝垂桜を見上げながら、他愛もな…

20130323 --692

描き出されたのは空を覆いつくすかと見紛うほどの巨大な魔法陣。彼らがその存在に気づいた時には、もう遅かった。「まさかっ、発動にはあと、少なくとも三日はかかると」恐慌状態の敵軍を見下ろしながら、塔の頂上で彼女は呟いた。「見くびられたものだな。…

20130321 --691

忌々しくも、今、居間にいます。イマジンじゃねえよ、単なるヒマジンだよ。 #twnvday #twnovel posted at 22:31:45 「今」っていうお題候補があったんだったかな。 - うん、イマイチ #twnvday7 posted at 22:33:35

20130319 --690

諦めろ。呼べど叫べど、誰も来やしない。見張りも格子もない代わりにどこにも繋がっていないのだから。ここは夜の牢獄。月と星だけが知らぬ顔して通り過ぎていく。もうじき、朝になる。昼日中生きるを許されぬ我らは、あの山から一条でも太陽の光が差したら…

20130319 --689

おかしなものだね。拒絶してきたのは君のほうじゃないか。今更なんだい? 己の意のままにならぬ、そぐわぬと言って去っていったのは君だ。どうして再びここに現われて、一緒に歩こうと言うのだね? ほう。覚えていない、とな。それはまた随分と都合のいい記…

20130319 --688

救いがない? そんなの当たり前だ。あらかじめ誰かが準備してそこかしこに仕掛けでもしない限り、打開などできるものか。孤独な者には無縁の言葉だよ。ああ、例外もいることにはいるが、それを知ってどうする? ひとりきりでも揺るがずにいられるなんて、お…

20130319 --687

叶わぬ思いに身を焦がし、望むものに手を伸ばせども一向に掴めず、挙句、絶望の果てに墜ちる先が地獄なのだとしたら、今まさに生きているこの世界そのものが、わたしにとっての地獄。願い? 希望? そんなものは慟哭と共にとうの昔に消え去った。今ここには…

20130315 --686

出会わなければ、いいえ、あなたという存在を一切知らずにいられたならば、こんなに焦がれることもなかっただろうに。無明の闇を漂い、彷徨い続けながら、それでも刹那の邂逅を求めて、這い蹲り、足掻き、繰り返す。何度も何度も。それに一体何の意味がある…

20130314 --685

羨んではいけない。羨んではいけない。だけど、なんで、いつも傍にいられるんだ。途方もないような時間の果てにようやく辿り着けたと思ったらまたすぐ離れていく僕とは違って。ああ、まただ。また離れていく。後ろ髪を引かれる思いで、終わらない孤独な旅は…

20130314 --684

箒星の話なんて書けないので放棄して蜂起した時に使った箒干してきます。 #twnvday #twnovel posted at 01:32:40 お題は「箒星」。

20130312 --683

『「宇宙が収縮している? バカな、ビッグクランチが起こるにしろ、それは10の27乗年先のはずだ」』(先週発売された週刊誌掲載の匿名記事より抜粋。《政府の極秘回線による通話の盗聴内容を暴露する》という異色の問題記事。ちなみに現在このライターは行方…

20130312 --682

あの日から、その研究者の世界は大学の研究室とトイレと購買だけになった。家に帰らず、トイレの洗面台で頭と体を洗い、食事といえば購買の野菜サンドと焼きそばパンを交互に食べるのみ。何故そんな生活をと問われ研究者は言った。「一刻も早く、完成させた…

20130311 --681

海に祈る。静かなれ。幾久しく穏やかなれ、と。大地に祈る。震えるなかれ。豊穣なれ、と。空に祈る。暖かなれ。冷たき雪疾く持ち去れ、と。それはこれまでとこれからを繋ぐ大切な今、誰の為でもなく、歩き続ける己が為なれば。人に祈る。手を差しのべるを臆…

20130309 --680

大森林に点在する、一見すると木の生い茂る急峻な山、実は樹齢何千年という巨樹だった。そしてそれに巣を作る、これまた巨大なクモがおり、また驚くべきことに、その巣糸を編んで空中に土台を作り、街を築いて住む者達がいた。人はクモの名を冠して彼らを「…

20130307

時は深夜。生き物は皆夢の中。空に浮かぶは上弦の月、雲の合間から時折顔を見せては、街道の遥か先に横たわる山脈をほのかに映し出す。この季節にしては生ぬるい風が大地を撫でて枯葉を巻き上げる。心底に潜む不安をざわりと掻き立てるように。そんな道の上…

20130306 --679

心ない人が水槽に毒をたらした。毒は瞬く間に広がって魚を苦しめた。水を換えても体の中に残って命を追いつめる。沢山の人達が必死に声をかけた。すると、底に沈んだ魚が再び泳ぎ始めた。だけではない。魚は、なんとピラニアに生まれ変わっていた。鋭い牙と…

20130301 --678

梅の香振り撒き2月が去った。替わりに来たりし3月は桃の香広めに有心に踊る。癒えぬと言えぬ心持つ、誰かの為に寄り添い歌う。春近し。春近し。やがて咲く咲く桜を待てと震える大地を風駆けぬ。春近し。春近し。雪の中より萌黄も謳う。渡り鳥らが支度する。…

20130228 --677

十六夜の月が綺麗だったので君を飲みに誘ってみた。そしたらまあ飲みなよってどんどんお酒を注いでくる。ごめんなさい、もう飲めません。これ以上飲むとうっぷ。いや、もう、ほんとに。ほんと勘弁。ごめんなさい。酔わせてあわよくばとか思ってごめんなさい…