"twinovels" di senzaluna

自分が書いたtwnovelなどのまとめ

SIDE-DIO

20140213 --753

造られたもの。選ばれたもの。見放されたもの。愛されなかったもの。崇め奉られた末に不浄として虐げられた、その身を器として捧げた運命のこどもたち。引き離されそうになった時、残されるはずだったひとりがもうひとりを連れて逃げた。お前らの勝手な都合…

20140211 --752

雪で世界は白く染まった。今なお空から舞い降りるそれは非情なまでに美しい。そんな中、ぼくたちは歩く。聞こえるのは雪を踏みしめる音ときみのむせび泣く声だけ。他には何も聞こえない。雪は音もなく降るのだなと思った。繋いだ手の温もりが、この世界が幻…

20130920 --729

降り注ぐ光は差し伸べられた貴女の手のようだ。探し続け、待ち続けた幾年でできた溝を埋め尽くそうと、それは蒼白く寒々しいはずなのに、仄かに暖かみすら感じさせる。己が手で受けようとするも、やはりそれは掴めるものではなかったが。月見て流す涙は、地…

20130425 --703

明確な目的地も定まらぬまま、徒に時間は過ぎ、歩く距離ばかりが増えていく。登るは険峻、降るは峡谷、往くは永久なる運命の枝。あとどれだけ進めば、望むものに手が届くのだろうか。あとどれだけ進めば、かの者の髪の先を、この手で掴めるのだろうか。風に…

20120914 --584

世界を漂う。それはまるで目覚めようともがく終わらない悪夢の中。 #twnvday #twnovel posted at 23:03:59

20120901 --575

蒼い月の下。海沿いの道の上。黒騎は、その歩を止めた。優しい潮騒に混じって、音ならぬ音、歌ならぬ歌が聞こえたからである。ほんの僅か、よくよく耳を澄まさねば捉えられそうにないそれは、しかし何らかの形を成す前に空に溶けていく。まるで手を伸べたと…

20100508 --263

終着点、すなわち運命の大樹の枝先。辿り着きたかったのはここではない。どこまで戻る? どの枝を進む? まったく同じ結末はない。気の遠くなるほど繰り返せば、望む結末に辿り着けると信じて、もう一回、もう一回。次に進む枝こそが正解でありますように。…

20100508 --262

指先から感じる、充足。欠けていた魂が徐々に補完されていくのがわかる。待て、待ってくれ。俺はずっと**を探していたが、ひとつに戻りたいからじゃない。やめてくれ。俺は**と共に在りたいだけなんだ。完全に融合してしまったら、今度こそ、俺は今度こそ独…

20091108 --115

あの人は歌が好きだった。いつも何か歌っていた。いにしえの自然讃歌や英雄譚、旅路を共にした流民から教わった数々の歌、そして愛の歌。どれだけ遠く離れ、どれだけ時間が過ぎても、あの人の声を、歌を、忘れられるわけがない。忘れられるわけがない。……あ…

20091018 --62

男にとって世界とは渡るものだった。更に言えば捲るものだった。空間を捲ると現われる別の世界。今と違う今に辿り着く。事象の変化率は捲る深度に比例した。そして、男は世界を渡るたびに楔を一つ残した。時間を渡る女が、いつかその世界の時間にやってきた…