"twinovels" di senzaluna

自分が書いたtwnovelなどのまとめ

くらやみせかい

20120202 --507

目を閉じても開いても闇。何故こんなところで迷っているのか、時間がどれほど経ったのか、導なり得るものは何もなく、ただひたすらにそこに在ることしかできない。誰かいませんか? 誰かいませんか? そう暗闇に向かって叫んでも返事はない。疲れて眠る。そ…

20120202 --506

その手が朽ちていくのを、俺は何も見えない中にあってさえ知れた。ずっと握っていたからだ。まず、動きが無くなった。次に温もりが消え、やがて嫌な匂いがした。段々肉が無くなっていき、固いものが触れるようになった。それでも離さなかった。離せなかった…

20120202 --505

真っ暗な中を歩き続ける。わかるのは先刻まで生きていた世界とは全然違う、一条の光もない世界であることと己の名前ぐらい。ここには他に誰かいるのだろうか。ひとまず立ち止まっているのも違うように思えたので、何も見えず無謀な気もするが歩いている。お…

20120202 --504

手を、握り続けていた。暗闇の中で、それが互いの存在を知り得る唯一の方法だった。何があるか、誰がいるかわからぬ真っ暗な世界で、這いつくばるように探し、やっと掴んだ誰かの手。念ずれば互いの言葉が聞こえた。しかし不意にその手が離れた。途端どこに…

20120202 --503

何時からか、貴方の声が聞こえない。暗闇の中、探って探ってやっと辿り着いた、誰かがいる証。真っ暗だから顔はわからない、けど、確かにそこに存在する誰か。互いの名前を呼び合う。わたし達はそれ以外何も知らないから。呼び合い続けた。なのに。返事が無…