"twinovels" di senzaluna

自分が書いたtwnovelなどのまとめ

2011-04-01から1ヶ月間の記事一覧

20101225 --330

「明日の朝は休んでいい。クリスマスなのにご苦労だったね」新聞配達のお頭が夕方やってきてジェーニャに2日分の給料を渡して言いました。本来なら明日も朝配達があるはずなのですが。「明日星飾りが落ちるだろう? あれが落ちるのも朝早い。新聞を配ってた…

20101225 --329

夏にお父さんが漁で行方不明になると、嘆く間もなくお母さんは港の工場で働き出しました。手を傷だらけにしても愚痴ひとつ言わずに働くお母さんが買ってくれたプレゼント。それがどんなに大変かはわかっていても、やはり誰かのお古だと思うと、ジェーニャは…

20101225 --328

朝食を食べた子供達が手に手にプレゼントを持ち、そこかしこに集まってわいわい見せ合っています。その様子をジェーニャは家の中から見ていました。ジェーニャは手に古いブリキのおもちゃを持っていましたが、新品のおもちゃを持つ子供達の中に入るのは恥ず…

20101225 --327

早朝、配達中の新聞を抱えたまま、ジェーニャはツリーの前にやってきて天辺を見上げました。「メリークリスマス、お星様」ツリーが飾られてから、配達途中に立ち寄って挨拶するのが彼の日課に加わりました。そして今日はクリスマスなので、挨拶もクリスマス…

20101224 --326

星飾りを巡って子供達の間で喧嘩が起きたりもしますが、不思議とその年に一番相応しいとみんなが納得できる子供に渡るのでした。森で迷った南部からの観光客を無事に連れ帰ったトニや感謝祭で素晴らしい歌声を披露したイーラ、アレクセイは街道で行商人を襲…

20101222 --325

そして、特に強調しなければならないのは、落ちてきた星飾りを拾えるのは、なんとこの町に住んでいる子供達だけということです。一抱えはある大きなもので重いはずなのですが、子供が持つと羽根のように軽く、大人が拾おうとするととてつもなく重くて持ち上…

20101222 --324

精霊の贈り物と呼ばれる理由はほかにもあります。クリスマスが終わり、ツリーの片づけをする時に必ず真っ先に落ちてくるのです。風のせいでも誰かが触ったせいでもありません。流れ星のように落ちてくるそれは、しかし間違いなく手で触れられる普通の星飾り…

20101221 --323

月が徐々に欠けていく。それはまさしく夕闇に食われていくかのようで、ユイは固唾を呑んで見守っていた。やがてすっぽり闇に閉ざされたかと思うと、浮かび上がるのは妖艶な暗赤の月。どうしてか目が離せない。今宵の月は、あたたかな安息ではなく、凍てつい…

20101218 --322

男がいつまで待っても誰も降りてきませんでした。やがて朝になり、飾りつけの係の人達がもみの木の下で凍える寸前の男を発見します。見たままを説明した男に係の一人が言いました。「多分見つけられんよ。俺のじいさんの頃からすでにそんな感じだったらしい…

20101216 --321

別れた。別れた。悲しい。寂しい。会いたくない。会えない。もう二度と送れないメール。もう二度とない着信。続くはずだった幸せ。続けたかった世界。しばらくして。しばらくして。嬉しかった思い出。楽しかった思い出。蘇る。思い出す。また。また。会いた…

20101216 --320

東の空が僅かに明るくなった時、男の背後でガタッと物音がしました。遂に来たかと振り向きますと、野良猫がツリーの資材を倒しただけでした。なんだ猫か。もみの木に視線を戻して、男はびっくり。天辺に、まるで最初からそこにあったかのようにお星様が輝い…

20101213 --319

ある年、誰がお星様を飾っているのか確かめようと、一晩中もみの木を見張った男がいました。寒い中、たくさんの服を着込み、眠い目をこすりつつ、飾られる瞬間を見逃すまいと天辺を睨むように見張りました。こんな大変な思いをしているんだ。絶対に突き止め…

20101208 --318

暗い中での作業は危ないので、ツリーの飾りつけは据えた次の日の朝から行なわれます。しかし、係の人がどんなに朝早く(たとえば日が昇り始めてすぐ)来ても、お星様はすでにツリーの天辺でキラキラと輝いていました。誰が飾っているのだろう。街の人は不思…

20101203 --317

街に近い森を約一時間歩くとツリーに使うもみの木があります。伐り出して街まで運ぶのですが、街の自慢になるほどのツリーを作るわけですから、何しろ大きいわけです。大人の男の人がたくさん集まって、どんなに頑張っても、広場に運んで据えるだけで一日が…

20101203 --316

スーパーまでの道中。娘「アーイス! たーべたい♪ アーイス! たーべたい♪」母「注射頑張ったし買ってやろう」娘「アーイス! たーべたい♪ アーイス! たーべたい♪」母「あ、車来るぞ。下がっとけ」娘「くーるま! たーべたい♪ くーるま! たーべたい♪」母「…

20101202 --315

ツリーの天辺に一際強く輝くお星様があります。「きれいだなあ」白い息を吐きながら、ツリーを見上げて市長さんは言いました。「それにしても一体誰が星を飾っているんだろう」実はこのお星様、誰が取りつけているのか、ツリーを立てるように命令している市…

20101201 --314

クリスマスの頃、街の中央広場にそれはそれは大きなツリーが飾られます。街の外れからでも見えるもので、ここで暮らす人たちの自慢です。ふわふわ。きらきら。しゃらしゃら。たくさんつけられた飾りは、風が吹くとぶつかり合って星のようにまたたき、きれい…

20101127 --313

北の海で働く大きい漁船の基地港があり、そばに広がる森のおかげで木材も豊富、かつ街道の終点で交易も盛ん。そういうわけで、とても寒い場所にも関わらず住んでいる人の数は約五千人と多く、その地方で一番栄えています。仕事を求めて、今日も誰かがやって…

20101127 --312

その都市はとても寒い地方にあります。どのくらい寒いかというと、一年の半分以上が冬で、春夏秋が短いです(三つ合わせて五ヶ月もありません)。冬の始めに大地を真っ白く染め上げた雪が、暦の上ではとっくに春になっていても解けず、なかなか地面を見せて…

20101125 --311

「学校で『ママ』って呼んでる人いないから、これからは『お母さん』って呼ぶからね、ママ。……あっ」「宣言したそばからかい」 #twnovel 5分後。「あ、そうだ。あのねー、ママー」宣言はどこにいったんだ、宣言は。posted at 02:17:42