"twinovels" di senzaluna

自分が書いたtwnovelなどのまとめ

涙の石

20140304 --759

流した涙が宝石に変わる妖精は、頭部だけになり、瓦礫の下に埋もれても、涙を流して宝石を生み続けた。そのスピードはどんどん増していく。宝石は瓦礫を押しのけ、逆に瓦礫を飲み込み、そして通りに溢れ、川のように流れた。やがて街を飲み込み、海に達し、…

20140304 --758

流した涙が宝石に変わる妖精は、死してなお宝石を生んだ。美しい宝石は高値で売れた。業者は当初それを喜んだが、しばらくして困り果てる。涙が止まらないのだ。当然、宝石は増え続ける。やがて首を隠した倉庫が、宝石の重みで倒壊してしまった。採取が間に…

20140304 --757

流した涙が宝石に変わる妖精は、どんな拷問にも耐えるようになり、遂に泣かなくなった。それに怒り狂った業者は勢い首を刎ねた。妖精は絶命したが、床に転がった頭部はその目をカッと見開いたままで、何故か大粒の涙を零し始めた。生み出される宝石は今まで…

20140303 --756

流した涙が宝石に変わる妖精は殺された青年の家にいた。見つけたのは闇で稀少生物を扱う業者だった。業者は妖精を連れ帰り、凄惨な仕打ちをしてその涙を得た。苦悶の果てに流す涙はより良い宝石に変わるのだ。「匿ってた奴は馬鹿だな。宝石売った金で用心棒…